個人差はありますが、30代以上になると白髪が気になり始めるという女性が多いようです。
いつまでも若々しく綺麗でありたい、そんな気持ちから美容院や市販のヘアカラーで白髪染めをされる方が増えてきます。
あまり知られていませんが、白髪染めに含まれる成分の中には、アレルギーを起こしやすい物質が使われています。
消費者庁にも毎年約200件ほど、白髪染めが原因と思われるアレルギーの報告があり、関係機関が毛染めで起こるアレルギーについて注意を促しています。
白髪染めを使い始めたら、痒み・湿疹などの皮膚症状が現れたり、抜け毛が増えるなどした場合は、白髪染めに含まれる化学物質によるアレルギー症状の可能性があります。
大したことがないからとそのまま毛染めを続けると、目や顔が腫れあがったり、最悪の場合はアナフィラキシーと呼ばれる重篤な症状を起こす場合も考えられます。
こちらでは、白髪染めによるアレルギーの原因や症状、アレルギー反応が出てしまった時の対処法についてお話したいと思います。
また、アレルギーの方でも安心して使用出来る白髪染め剤もご紹介しますので、参考になさってみて下さい。
突然発症する白髪染め(ジアミン)アレルギー
白髪染めによるアレルギーは、これまで白髪を染めていても、特に問題がなかった方が、ある日突然発症する事があります。
これは、白髪染めに含まれる化学物質(ジアミン)が与える頭皮などへのダメージが、継続使用によって蓄積されることが影響していると考えられます。
白髪が気になる年代になると、皮膚や頭皮・毛根などにも老化が見られます。
こうした理由で皮膚のバリア機能が衰えると、以前はなんともなかった白髪染め剤の刺激を強く感じたり、痒みなどの症状を起こしやすくなるのです。
また、年齢を重ねる事で体質が変わり、アレルギーを発症する方もいらっしゃいます。
この他、次のような方は、白髪染めによるアレルギー発症リスクが高いとされています。
- アトピー性皮膚炎になったことがある
- 頭皮が乾燥していたり、皮膚が薄い
- 頭皮や顔などに傷や湿疹がある
なお、生理中や妊娠中は、皮膚が敏感になってアレルギーを起こしやすくなります。
そのため、白髪染めの使用は、なるべく控えるのが望ましいでしょう。
なぜ白髪染めでアレルギーになるの?原因成分は?
では、なぜ白髪染めでアレルギーが起きてしまうのでしょうか?
白髪染めなどのヘアカラーの多くは酸化染料剤が主成分です。
中でも、ジアミン(パラフェニレンジアミンなど)と呼ばれる化学物質は、特にアレルギーを起こしやすいとされています。
皮膚の痒みや赤み・腫れなど、白髪染めによるアレルギー症状の大半は、このジアミンが原因となって起こります。
一般的に、市販品や美容室で使用されている白髪染めには、ジアミンなどの酸化染料材が含まれています。
ジアミンは、様々な色調を作り出すことができる上、濃い色での染毛が可能なため、多くの白髪染めに使用されているのです。
アレルギーの懸念があり、一部の国では単体で劇薬指定を受けているにも関わらず、白髪染めに広くジアミン系の薬剤が使用されているのは、色持ち良く、染毛力に優れているジアミンに代わる物質がないためです。
なお、白髪染めでジアミンアレルギー症状が出た場合、ジアミンの含まれた毛染め剤を使用しないようにすることが大切です。
白髪染めで頭皮や顔のかゆみ、ジアミンアレルギーの症状かも
白髪染めをして、頭皮にピリピリした刺激を感じたり、痒みや赤み、腫れなどの症状が見られた場合、ジアミンアレルギーの可能性があります。
こうしたかぶれのような症状は頭皮だけでなく、生え際や顔、首などに現れる事もあります。
また、白髪染めを使い始めたところ、急に抜け毛が増えたといったケースも原因は、ジアミンによるアレルギーの場合も考えられます。
白髪染めによるアレルギーの主な症状は次の通りです。
- 白髪染めがしみる、ピリピリした刺激や痛み
- 痒み、赤み、湿疹や腫れ、かさぶたなどの皮膚症状
- 頭皮がじゅくじゅくして傷口から浸出液がにじむ
- 頭皮のむくみ
- 顔やまぶたの腫れ
- 髪が細くなったり、抜け毛が急に増える
ヘアカラーをした後に、頭皮やその周囲に上記のような症状が見られた場合は、使用を中止して白髪染め剤を丁寧に洗い流しましょう。
それでも症状が治まらない、あるいは悪化する時は速やかに皮膚科を受診するようにして下さい。
重症化する恐れもある白髪染めアレルギー
「白髪染めを使用中ちょっと痒いかな?」と思われたり、皮膚がピリピリするなどした程度でも、その後はジアミン系の薬剤の入ったヘアカラーは使わないようにしましょう。
というのも、ジアミンアレルギーは白髪染めを繰り返す事で重症化する傾向にあります。
症状が軽いからとヘアカラーを重ねていくうち、アナフィラキシーショックなど重篤なアレルギー反応が起こります。
命に関わるような事態に陥る事も考えられるのです。
消費者安全調査委員会のまとめた、ジアミンアレルギーによって生じる恐れのあるアナフィラキシー症状は次の通りです。
- 動悸
- 息切れ、呼吸困難
- 皮膚の発赤
- 血圧低下
- 全身の蕁麻疹
- 腹痛や嘔吐
- 咳
なお、白髪染めによるアレルギー症状は、6時間程度経った頃から現れる事が多く、症状のピークは48時間後と言われています。
アナフィラキシー症状は、時間を置いて現れてくる事がある点に注意が必要です。
突然、呼吸困難や意識喪失など、深刻な症状が起きる場合も考えられます。
白髪染め後に、アナフィラキシーと思われるような症状が見られた場合は、すぐに医療機関を受診して治療を受けましょう。
パッチテスト(アレルギーテスト)の重要性
このように、アナフィラキシーなど重篤な症状を伴う事もある白髪染めアレルギー。
最近になって、注意喚起やTVなどでも取り上げられるようになってきました。
しかし、白髪染めによるジアミンアレルギーについては、広く周知されているとは言えないのが現状です。
こうした危険を知らずに、痒みなどを我慢してヘアカラーを使い続けた結果、重篤な症状を招くケースも目立ちます。
白髪染めによって何らかのアレルギーを発症した方のうち、事前にパッチテスト(アレルギーテスト)を行ったのはわずか3割だと言われています。
また、約40%の方は、白髪染めでアレルギーを起こす可能性があるということ自体、知らずに毛染めを行っていたとの報告もあります。
アレルギーを起こさないために、白髪染めを行う際は必ず、毎回パッチテストを行うようにしましょう。
やり方は簡単で、毛染めを使用する48時間前に、白髪染め剤を腕の内側などに少量(10円玉大程度)塗り反応を見ます。
もしテスト中に、皮膚に赤みや痒み、炎症や湿疹などアレルギー症状が現れた場合は、すぐに洗い流して今後は白髪染めを使用しないようにしましょう。
白髪染めでアレルギー反応が起きた時の対処法・対策
白髪染めなどのヘアカラーをしていて、アレルギーと思われる症状が現れた時は、例え軽症でも速やかに皮膚科を受診するようにしましょう。
先ほどもお話した通り、ジアミンアレルギーは時間の経過と共に重症化する事があるのです。
また、白髪染めによるアレルギーは、発症を繰り返すことで次第に症状が重くなったり、最悪の場合は重篤なアナフィラキシーを引き起こします。
よって、一度でも白髪染めでアレルギー反応が起こした方は、ジアミンなど酸化染毛剤と呼ばれる毛染め・ヘアカラーの使用は厳禁です。
日本ヘアカラー工業会と厚生労働省は、白髪染めの前に必ずパッチテストを行う事を呼びかけています。
また、毛染めについてのガイドラインを設けています。
ガイドラインによると、ジアミンアレルギーを起こした方以外にも、次のような方は白髪染めやヘアカラーを避けるべきとしています。
- 頭皮、顔、首の皮膚に腫れものや傷、皮膚病のある方
- 生理中や妊娠中の女性
- 体調不良の方
- 腎臓や血液疾患の方
白髪染めアレルギーの治療法・治し方
白髪染めで、かぶれや赤み・腫れなどの症状が見られた場合、早めに皮膚科を受診しましょう。
白髪染めアレルギーは、次第に症状が重くなったり、突然悪化して重篤な症状に陥る可能性があり注意が必要です。
皮膚科では、症状に応じてステロイド剤の外用薬や、抗アレルギー剤・抗ヒスタミン剤の内服薬、ステロイド内服薬などが処方されます。
多くの場合、こうした治療で症状は治まります。
しかし、アナフィラキシーなど重篤な症状が起こった時は、入院して点滴などによる治療が行われます。
ジアミンアレルギーの心配がない市販の白髪染めとは?
繰り返しになりますが、白髪染めでアレルギーを起こしたり、パッチテストでアレルギー反応が見られた方は、今後ジアミン系の毛染め剤は使用出来ません。
とは言え、白髪を全く染めないわけにもいかないというのが実情でしょう。
では、白髪染めでアレルギーの方は、どのような毛染めを使用すれば良いのでしょうか?
ジアミンを含む白髪染めは染毛剤と呼ばれています。
これに対して、カラートリートメントなどジアミンを含まない(無添加)染毛料はアレルギーのある方も安心して使用できる白髪染めです。
ジアミンの作用によって、髪を脱色して内側から色を染める染毛剤と違い、ルプルプや利尻などの市販のカラートリートメントはジアミンを含まず、髪や頭皮に優しい白髪染めと言えるでしょう。
キューティクルなど髪の表面に着色するタイプなので、一度でしっかり染めることは難しいと言えます。
しかし、低刺激でアレルギーの心配がないため、繰り返し使用することが可能です。
また、使い続けることで白髪を自然に美しく染められる点が好評で今、とても人気がある白髪染めとなっています。
カラートリートメント以外にも、パッチテストの必要がない非ジアミンの白髪染めがありますのでご紹介します。
オハグロ式白髪染めでアレルギーの心配は?
オハグロ式白髪染めは、ジアミンを使用していないため、一般の白髪染めでアレルギーを起こす方も安心して使用する事が出来ます。
マロンマインドカラーなどのオハグロ式の白髪染めは、ジアミンではなく、ポリフェノールと塩鉄の反応によって黒く発色して白髪を染める仕組みです。
アレルギーの心配がなく、約1ヶ月と色持ちが良いのが特長です。
しかし、脱色してから白髪を染めるわけではないため、明るい色味で毛染めをする事が出来ず、髪が真っ黒になりがちです。
また、オハグロ式白髪染めの使用後はパーマのかかりがやや悪くなる、鉄や硫黄のような臭いが気になるという声も聞かれます。
ヘナでの白髪染めのアレルギーの心配は?
ヘナは髪や頭皮に優しい天然素材の無添加ヘアカラーです。
ジアミンを含まないため、白髪染めでアレルギーを起こす心配がありません。
しかし、天然のヘナ100%の毛染め剤では、白髪は明るいオレンジ色に発色し、黒や濃い色に染める事は出来ません。
白髪の分量が少ない方や、元々の髪色が明るめの方は問題ありません。
しかし、白髪の割合が多い方などは、ヘナカラーによって白髪染めをしている事が目立ちやすくなると言えるでしょう。
また、毛染めに時間が長く掛かったり、手やタオルなどに付いた粉が落ちにくいなど、使いこなすのに少々、コツが要る点にも注意が必要です。
先ほどもお話しましたが、天然のヘナでは白髪を黒く染める事が出来ません。
したがって、ヘナカラーと言う名前で販売されていても、白髪が黒や茶色にしっかり染まる商品には、ヘナにジアミンやその他の化学物質が添加されているという事になります。
こうした白髪染めの場合は、ジアミンアレルギーの方は使用する事が出来ません。
また、100%天然ヘナでない白髪染めは、パッチテストの必要があります。
そのため、使用前にパッケージの表示等をよく確かめるようにしましょう。
ヘアマニキュアでの白髪染めのアレルギーに心配は?
市販品や美容院で行うヘアマニキュアも、アレルギーの心配のないヘアカラーです。
ジアミン系の白髪染めと違い、ヘアマニキュアは髪の表面・キューティクルに吸着する仕組みのため、髪に優しく白髪をつややかに染める事が出来ます。
髪を痛めることなく、手軽に白髪染めが可能です。
しかし、ヘアマニキュアは長期間使い続けると、染まりが悪くなることがあります。
また、浸透材を使用している関係で、頭皮や手に薬剤が付着すると取れにくい点に注意が必要です。
カラーシャンプーでの白髪染めはアレルギーの心配がある?
カラーシャンプーもパッチテストの必要がなく、アレルギーの方が安心して使える白髪染めです。
一度でしっかり染まるわけではありません。
しかし、ジアミンを含まないため、毎日のシャンプー時に繰り返し使用する事が出来ます。
使い続けることで徐々に白髪が目立たなくなっていきます。
同じシリーズのコンディショナーやカラートリートメントと併用すると、色持ちが良くなるなど、より美しい仕上がりが期待できるでしょう。
白髪染めアレルギーのまとめ
白髪染めを使用してアレルギーを発症した方は、その後はジアミン系の毛染め剤を使用する事が出来ません。
白髪染めアレルギーを繰り返すと、アナフィラキシーなど重篤な症状を起こす可能性があります。
そのため、例え軽症であってもアレルギー症状が現れた場合は、以降は毛染め剤の使用を控えましょう。
また、皮膚にかぶれや痒みがある時は、速やかに皮膚科を受診するようにして下さい。
白髪染めでアレルギーを発症してしまった場合は、ルプルプや利尻などのカラートリートメントなど、ジアミンを含まない白髪染めの使用を検討してみると良いでしょう。